研究業績1
本研究は、教育遊具というアイテムに対して、造形芸術的側面と科学的側面からアプローチしたものである。従来、理科教育や数学教育と美術教育は、遠くかけ離れた領域という認識が一般的であった。しかし近年、総合的学習が学校教育現場に行き渡るにつれ、教科の枠組みを外し、横断的な内容が教授されるようになってきた。
そこで、当初から3分野の内容を盛り込んだ教材を遊具として開発し、体験者がそれを触りながら、あるいはそれに乗って遊びながら、造形教育(デザイン学)のみならず理科教育(物理学)や数学教育(幾何学)の1領域が学べることを意図したものである。さらに踏み込んで、平衡感覚を養ったり自身の身体感覚を培ったりできる保健体育(運動学)との関連も視野に入れている。
学習者がこの遊具をもとに、体験的な学びをおこなうことによって、今まで教科書的な知識としてしか認識されなかった内容を、経験的かつ実践的に定着させることができる。これは、科学性(合理性)と芸術性(審美性)双方のうえに成り立っている“デザイン的思考”を、児童生徒や学生たちの間に萌芽させるものとしてもたいへん有効であると考える。
識者のご批評を希うものである。
研究助成金
課題名 | 「遊びを通して自然現象を体験する動くオブジェの開発」 |
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名称 | 中山隼雄科学技術文化財団研究開発助成金(一般課題、技術・技能) |
期間 | 2004年4月1日~2005年3月31日 |
研究者 | 村松俊夫(研究代表者) 研究経費 : 750千円 |
課題名 | 「身体を通して自然環境を体感する“膜構造”を用いた教育遊具の開発」 |
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名称 | 平成23年度科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)(基盤研究(C)課題番号23531246) |
期間 | 2011年4月1日~2015年3月31日 |
研究者 | 村松俊夫(研究代表者) 研究経費 : 4000千円 間接経費 : 120千円 |
課題名 | 「身体を使った遊びを通して自然現象を理解する動く遊具の開発」 |
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名称 | 平成20年度日本学術振興会科学研究費補助金(基盤研究(C)課題番号20530847) |
期間 | 2008年4月1日~2011年3月31日 |
研究者 | 村松俊夫(研究代表者) 研究経費 : 1800千円 間接経費 : 540千円 |
課題名 | 「奇数スフェリコン・ハイブリッドスフェリコンの形態を用いた新しい触知教育遊具の開発」 |
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名称 | 平成27年度科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)(基盤研究(C)課題番号15K04489) |
期間 | 2015年4月1日~2019年3月31日(2015~2018年度) |
研究者 | 村松俊夫(研究代表者) 研究経費 : 3600千円 間接経費 : 108千円 |
研究成果
著作
- 共著「かたち・機能のデザイン事典」高木隆司・宮崎興二・小林昭世他編,(2011.1),丸善出版株式会社,村松俊夫担当項目:「“転がり”のかたち」pp.222 -225.
査読付学会誌論文
- 村松俊夫,“等高重心立体の構造を用いた動く造形”,日本図学会,図学研究№114,(2006.12),pp.11-16.
- 村松俊夫,“ステンレスパイプを用いた動く造形「A study of tangible」”,日本基礎造形学会,基礎造形015,(2007.3),pp.60-61.
- 村松俊夫,“等高重心立体の構造を用いた動く造形のヴァリエーション”,日本図学会,図学研究№125,(2009.9),pp.3-9.
- 村松俊夫,“円を楕円に代えた等高重心立体のヴァリエーション”,日本基礎造形学会,基礎造形018,(2010.3),pp.74-75.
- MURAMATSU T. “The Construction of a Rideable Geometric Object Based on a Conical Form: Regarding "Space Walk on the Earth" with Ellipsoidal Rolling Plane”,The Journal for Geometry and Graphics,
Volume 15 (2011),№2,International Society for Geometry and Graphics,pp.203-212. - 村松俊夫,“奇数スフェリコンの構造をもとにした触知教育遊具の開発”,日本基礎造形学会,基礎造形024,(2016.3),pp86-87.
学会口頭発表
- 村松俊夫,“見えないものを触知するための造形-時間・空間・重力を可視化するためのオブジェ-”,環境芸術学会第7回大会研究発表概要集,(2006.9),p.6,新宿御苑.
- 村松俊夫,“「Two-Circle-Roller」の構造を用いた動く立体造形のヴァリエーション-正円を弧成楕円に代えた「Two Ellipse Roller」の制作-”,2007年度日本図学会大会(東京)学術講演論文集,(2007.5),pp.37-40,東京大学教養学部.
- 村松俊夫,“等高重心立体の構造を用いたキネティックアート”,環境芸術学会第9回大会研究発表概要集,(2008.10),p.7,東京藝術大学馬車道校舎.
- 村松俊夫,“「Sphericon」の構造を用いた動く立体造形のヴァリエーション-半円を楕円に代えた「A study of tangible – K 」の制作-”,2008年度日本図学会本部例会(東京)学術講演論文集,(2008.11),pp.56-59,立教大学池袋キャンパス.
- 村松俊夫,“「円錐形をもとにした体験型造形作品の開発」-楕円を回転面にもつSpace walk on the earthについて-”,2009年度日本図学会(筑波大会)学術論文集,(2009.5),pp.195-200,筑波技術大学.
- 村松俊夫,“Space walk on the earth-円錐形をもとにした搭乗型立体造形作品-”,環境芸術学会第10回大会研究発表概要集,(2009.10),p.22,神戸芸術工科大学.
- 村松俊夫,“Hexasphericonの構造をもとにした立体造形作品-「A study of tangible - H」の動きについて-”,2009年度日本図学会秋季大会(東京)学術講演論文集,(2009.11),pp.55-57,東京都市大学世田谷キャンパス.
- 村松俊夫,“搭乗型キネティックアートの開発-「Space walk on the Earth Ⅱについて-”,環境芸術学会第11回大会研究発表概要集,(2010.10),p.23,埼玉大学.
- 村松俊夫,“仮想支点・仮想接地線の構造を取り入れた転がる教育遊具の開発”,2010年度日本図学会秋季大会(東京)学術講演論文集,(2010.11),pp.77 -82,法政大学市ヶ谷キャンパス.
- 村松俊夫,“Space walk on the Earth Ⅲ”,環境芸術学会第12回大会研究発表概要集,(2011.10),p.20,新潟大学.
- 村松俊夫,“Hexasphericonの構造をもとにした体験型造形作品の開発”,2011年度日本図学会秋季大会(大阪)学術講演論文集,(2011.11),pp.37 -41,大阪市立大学.
- 村松俊夫,“搭乗型キネティックアートにおける鑑賞者の反応について”,環境芸術学会第13回大会研究発表概要集,(2012.11),p.17,東海大学湘南校舎.
- 村松俊夫,“プロトタイプ「Tri-Sphericon」の構造”,環境芸術学会第13回大会研究発表概要集,(2012.11),p.27・p.40,東海大学湘南校舎.
- 村松俊夫,“奇数スフェリコンの構造を応用した往復運動するオブジェの試作-頂角60°の正円錐による「Tri-sphericon」-”,2012年度日本図学会秋季(東京)大会学術講演論文集,(2012.12),pp.121-126,東京工科大学蒲田校舎.
- 村松俊夫,“梯子構造による面”を用いた搭乗型教育遊具の開発”,2013年度日本図学会春季(兵庫)大会学術講演論文集,(2013.5),pp.101-107,産業技術短期大学.
- 村松俊夫,“「Geometric Dharma Doll 」-奇数スフェリコンの構造を用いた往復運動するオブジェ-”,2014年度日本図学会秋季大会(東京)学術講演論文集,(2014.11),pp.220 -221,東京藝術大学上野校舎.
- 村松俊夫,“正5角形スフェリコンをもとにした触知教育遊具の開発”,2015年度日本図学会秋季(大阪)大会学術講演論文集,(2015.11),pp.131-136 ,大阪大学吹田キャンパス.
受賞
- 2012年度日本図学会秋季大会[優秀研究発表賞]
“奇数スフェリコンの構造を応用した往復運動するオブジェの試作-頂角60°の正円錐による「Tri-sphericon」-”,2013年度日本図学会春季(兵庫)大会,(2013年5月) - 2012年度日本図学会[日本学会賞]
“幾何学から発想される立体造形の研究”,2013年度日本図学会春季(兵庫)大会,(2013年5月)
本研究報告書は、平成23年度科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)基盤研究(C)課題番号23531246の助成を受けて制作した。